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コラム
2019.10.14
野球肩・野球肘治療法の一つとして。投球開始の目安と判断基準

野球肩・肘。早期回復のカギはここ!徹底解説
①全身的視点(西洋医学)からみた治療法
②部分的視点(東洋医学)からみた治療法
③投球動作の分類
④野球肩を知る。
⑤野球肩を改善させる方法をご案内
⑥野球肘を知る。
⑦野球肘を改善させる方法をご案内
⑧どうする!?野球肩・肘が目の前で発症
⑨骨に異常がある場合とない場合。見分けるポイントはここ。
⑩関節内部の状態はどうなってるの?損傷の程度を解説
⑪続行か?中止か?判断が難しい。徹底解説
全身的視点(西洋医学)から見た治療法
西洋医学とは解剖学や生理学を主とした学問であり。患者さんの直接悪い部分に対して薬を用いたり手術を施したりすることによって痛みを和らげる治療法になります。
また痛みの原因を科学的な検査機器を用いて調べます。日本の医療は西洋医学を基本としており多くの野球選手は野球肩や野球肘を疑えば整形外科へまず受診します。
まず最初に、問診を行い痛いその場所(疼痛部位)を伝えるとレントゲンやMRI、超音波画像診断装置などの検査機器を用いて痛みの原因を探ります。そこで、骨に異常があるか。骨に異常がないのか。を部分的に調べます。
部分的視点(東洋医学)から見た治療法
東洋医学はアジアの伝統医学であり日本では鍼や灸、按摩や漢方などを用いて悪い部分のみ(点)に対して治療するのではなく、全身を整える事でその疼痛部位に(悪い部分)に対しアプローチしていく治療法になります。
これは身体全体を通してその痛みや不調が部分的に出現していると考えている為です。
また本人の持っている自然治癒力を最大限に引き出す点に重点を置いる為、身体を全体的に調べていきます。
多くのスポーツ選手がケガをした際に鍼灸治療を選択するケースも多くまた、試合前後にトレーナーとして按摩を行い選手のコンディショニングを行っています。
投球動作の分類
①ワインドアップ期
②コッキング期(前期)
③コッキング期(後期)
④アクセル期(加速期)
⑤リリース期(減速期)
⑥フォロースルー期
投球動作はこの6つに分類。
野球肩や野球肘の発生原因で特に多いケースはコッキング後期からアクセル期になりますが、それ以外の期でも勿論発生する場合もあります。
その為、安易に決めつけるのではなく疼痛部位と投球動作を一致させる事が肩や肘の治療における最善の方法であり患者(選手)の”投球動作をチェック”し解析しなくてはなりません。
その理由を詳しく述べていきます。
野球肩を知る。
野球肩とは
野球選手が繰り返し(慢性的に)投球することによって肩関節に負担がかかり関節周囲の筋肉組織(インナーマッスル:棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)や靭帯組織、また関節の間にある関節唇を損傷し炎症が起きている状態の総称。
野球肩の種類
①関節唇損傷
②インナーマッスル損傷(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)
③上腕二頭筋長頭腱炎
④三角筋損傷
⑤インピンジメント症候群
⑥骨端線離開
⑦剥離骨折
ここでは代表的な症例を挙げています。
発生年齢
成長期の子供から大人まで年齢に関係なく、野球をしている方であればどの年齢でも幅広く発生する可能性があります。男女比も関係ありません。
主な症状:投球障害
・腕を前方や側方に挙げると痛みが生じ投球に支障をきたす。
・投球時にトップ(コッキング後期)を作る事ができない。
・ボールを投げようと力を入れた瞬間に痛み が発症する。
・力が急に抜けてしまう。
発生原因
①投げ過ぎによる(オーバーユース)
②負担のかかる投球フォーム
③肩関節周囲の柔軟性の低下
④1人多ポジションによる投げ方の違い
⑤前回の投球から期間が空いた場合
治療期間
損傷の程度にもよりますが、殆どのケースで最低1ヵ月、長いケースでは6か月から1年のケースもあります。
野球肩を改善させる方法をご案内
接骨院北原では野球肩の治療はどのようにして治したか。が大切。という記事も書いています。(以下、参照)
通常は野球肩は長期間の施術を要しますが、接骨院北原がどうすれば治療期間を短縮できるのか。野球肩を改善させる治療法と理由をご案内します。
治療期間の短縮方法を解説
疼痛部位と投球動作を一致させる事により早期に原因を突き止める。
投球動作の分類①から⑥までの動作を分析し、どの動作時に痛みが発症しているのかを瞬時に解析。割り出します。
それによって痛み(疼痛)の原因となっている動作(フォーム)を修正することによって炎症が治まり症状が安定するのです。
早期改善させるためには”ここ”にこだわる
西洋医学の疼痛部位(部分的な視点)に対する治療と東洋医学の視点で投球動作を身体全体(全体的な視点)で診て治療することによって早期に投球を開始する事が出来るのです。
治療期間が短縮される理由
つまり、一つの視点で治療を行うのではなく、東洋医学と西洋医学を結集させ、それぞれを融合させる事で治療期間を短縮する事が可能になるのです。
野球肘を知る。
野球肘とは野球選手が繰り返し(慢性的)投球動作を行うことによって肘関節の周囲の筋肉組織や靭帯組織、骨組織を損傷し炎症が起きている状態の総称。
野球肘の種類
①内側型
全体の約85%を占める。投球動作時に肘関節の内側に付着している内側側副靭帯が骨を剥がすような力が加わることにより発生。損傷部位により診断も変わります。
Ⅰ、Ⅱは骨異常なし。Ⅲ、Ⅳは骨異常あり。
Ⅰ内側側副靭帯損傷
Ⅱ内側上顆炎
Ⅲ剥離骨折
Ⅳ骨端線離開
②外側型
全体の約10%を占める。投球動作時に上腕骨外側顆と橈骨頭が衝突することによって出現する。簡単に言えば骨と骨が衝突することによって損傷する。
特にⅡの離弾性骨軟骨炎は初期には疼痛(痛み)が発症せず、症状が悪化すると痛みを訴えます。しかし、この時既に進行しているケースが多く注意が必要です。
Ⅰ外側上顆炎
Ⅱ離弾性骨軟骨炎
③後側型
全体の約5%を占める。投球動作時に上腕骨と尺骨(腕尺関節)で骨と骨が衝突することで発症したり、腕尺関節の噛み合わせが合わない事によってロッキング(インピンジメント症状)が発生する場合があります。
発生年齢
成長期の子供から大人まで年齢に関係なく、野球をしている方であればどの年齢でも幅広く発生する可能性があります。男女比も関係ありません。
主な症状:投球障害
・肘を曲げて力を入れると痛みが出現。(投球時に痛みが出ない時もある。)
・肘を完全に伸ばすと痛みが出現。(投球時に毎回痛み出現)
・アクセル期やリリース期に力を入れる事ができない。
・ボールを握っただけでも痛みが発症する。
・前腕が痺れて力がぬけてしまう。
発生原因
①投げ過ぎによる(オーバーユース)
②負担のかかる投球フォーム
③肘関節周囲の柔軟性の低下
④ポジション変更等で投げ方が変わった。
⑤前回の投球から期間が空いた場合
⑥リーグや学年が変わり使うボールが変更
野球肘の治療期間
損傷の程度にもよりますが、外側型を除く内側型、後側型であれば下記の通り。
骨に異常がある場合
早くて1ヵ月半、長くて半年から1年のケースもあります。
骨に異常がない場合
早ければ2週間程度。長くて3か月程度。
野球肘を早期に改善させる方法
接骨院北原では野球肘の治療は「本気で治す理由。時間を買うべきとは」という記事を書いていますように通常は最低でも2週間から1、2か月間の施術を要しますが、どうすれば治療期間を短縮できるのか。徹底的に研究した最新の治療法をご案内します。
治療期間の短縮方法を解説
疼痛部位と投球動作を一致させる事により早期に原因を突き止める。
投球動作の分類①から⑥までの動作を分析し、どの動作時に内側、外側、後側に痛みが発症しているのかを瞬時に解析。割り出します
それによって痛み(疼痛)の原因となっている動作(フォーム)を修正することによって炎症が治まり症状が安定するのです。
早期に治すためには”ここ”にこだわります
西洋医学の疼痛部位(部分的な視点)に対する治療と東洋医学の視点で投球動作を身体全体(全体的な視点)で診て治療することによって早期に投球を開始する事が出来るのです。
どちらか一方の視点でしか診ないと見逃す部分も多くなるのです。
治療期間が短縮される理由
つまり、一つの視点で治療を行うのではなく、東洋医学と西洋医学を結集させ、それぞれの良い部分を融合させる事で治療期間を短縮する事が可能にり早期に解決へと導けるのです。
どうする!?野球肩・野球肘が目の前で発症。投球中止の判断基準
骨に異常がある場合とない場合。見分けるポイントはここ。
肩でも肘でも骨に異常がある場合とない場合では発生するタイミングが共通しておりまた、選手の特徴的な”姿勢”と”ヒアリング”(問診)するだけで大よその検討が付きます。
・プロのトレーナーはどう判断しているのか
・関節内部の状態がどのようになっているのか?
・投球の継続は可能か?
・練習全てを中止するべきか?
見分ける方法。肩・肘共通
骨に異常がある場合。
野球肩や野球肘で骨に異常がある場合の殆どが、投球時に急激な痛みが発生した場合に起こります。
1回の投球で瞬間的に発生する場合例
①朝のキャッチボールの遠投
②キャッチャーのセカンド送球
③外野手のバックホーム
④ピッチャーの全力投球
⑤内野手のゲッツー
⑥昼食後の最初の投球(いったん休憩した後のボール回し)
この様なケースでは肩関節や肘関節に限らず骨異常を発生する確率が高い動作例です。
この場合以下の診断名が付く確率が高くなります。
診断名
①剥離骨折
肩関節や肘関節の周りに付着する筋肉が骨を剥がす。肩関節や肘関節に発生
②骨端線離開
成長期に多い骨端線(成長すると無くなる線、成長線とも言われる)が離れている(投球側と反対の肩の成長線を比べてレントゲンを撮ります。)事が多い。
③離弾性骨軟骨炎
肘関節の外側(野球肘外側型)の軟骨が剥がれ、ネズミとなる。
骨に異常がない場合
野球肩や野球肘で骨に異常がない場合の殆どは何度も痛みを繰り返し発症(疼痛と緩解を繰り返す)している場合です。
繰り返しの投球(反復、継続的)で痛みが発生している例
①週末投球して平日投球しない。小学生から中学生に多い。
②普段は痛みを感じないが特定のポジションになると痛みがでる。
③以前は内野手。球数制限によってピッチャーへ変更。
④ピッチャーからキャッチャーへまたその逆
⑤1球や1回の投球(瞬間性)ではなく、継続的に繰り返している。(反復性)
関節内部の状態はどうなっているの?損傷の程度を解説
続行か?中止か?判断が難しいここを解説。
①Ⅰ度:靭帯繊維が微小損傷しています。
(初期)痛い部分を押すと痛みが出現。この場合によっては痛みを感じながらも投球を継続する事が可能です。また選手が監督、コーチに痛みの報告をしないケースもあります。
②Ⅱ度:靭帯繊維が部分断裂しています。
この場合、炎症の度合いが強くなり関節部分が腫れたり、曲げたり伸ばしたりするだけで痛みが発症します。これを可動域制限(ROM制限)と言います。
痛みに強い選手や責任感の強い選手は投球を継続できるケースもありますが、かばっている様子が監督、コーチ、第三者の目でみれば明らかに様子が違う事が分かります。
③Ⅲ度:靭帯繊維が完全断裂しています。
この場合、炎症症状が強く出現し、関節部分が反対側の関節と比較すると明らかに腫れ(腫脹)が出現しています。
また関節の曲げ伸ばしが出来ません。
健側(痛めていない側)で損傷した関節部分を自ら抑えるような姿勢をとる事が特徴的です。投球継続は不可です。全ての練習を中止た方が良いでしょう。
最後に
如何でしょうか?もし、接骨院北原が現場で帯同していたとしても程度Ⅲ度になると中止の判断をします。
テーピングを巻いて出場可能なケースも程度Ⅱまでが基準です。
また、救急バックの中に湿布やテーピングを常備させ緊急時にはアイシングを兼ねた湿布が有効です。(応急処置)
中止か継続か?見分けるポイントを紹介しましたが、選手の表情も観察し総合的に判断する事が良いでしょう。
選手はやりたい気持ちを全面にだしてきますが、Ⅲ度レベルになると難しいと判断してください。